2018年11月 剣友会だより

12月も後半に入り、本格的に寒くなってきました。
この時期の稽古は、体が温まるまでの間が辛く感じますが、寒さに負けず精進しましょう。

さて、遅ればせながら11月号の剣友会だよりでは、竹明流抜刀術について触れてみたいと思います。
当会のホームページにも記載しておりますが、竹明流抜刀術は大阪剣友会だけにしか伝わっていない居合流派です。当会の前身となった聖武舘道場の師範と、ある無外流の師範の2人が考案して創始されたとされていますが、詳細な経緯は伝わっていません。

竹明流抜刀術の業は「真力」「行力」「草力」という3つの括りで構成されています。
あくまで私見ではありますが、この3つの括りの名称は、おそらく書における「真行草」に由来しているのではないかと推測しています。つまり「真書(正書・楷書)」「行書」「草書」のことですね。
それを当てはめると、おおよそ以下のような内容になるのでないかと思います。

「真書」=「真力」は、お手本となる形に沿って、正しく基本の修練を行う。
「行書」=「行力」は、徐々に力を抜いて、基本を自分自身の業として発展させていく。
「草書」=「草力」は、お手本の形から離れ、独自の個性を発揮し磨いていく。

このように竹明流抜刀術は、業を単に3つの括りに分けて名付けているだけでなく、修練の段階をも表現しているのではないでしょうか。

また、これに似たような言葉として「序破急」や「守破離」などがあり、様々な武術や芸事の中での教えとして、今なお息づいています。

各人の習熟度の違いはあるかと思いますが、この竹明流の3つの括りが示しているように、まずは基本を身に着け、発展させ、最終的に自分の体に合った動き方を修めていけるよう、共々に稽古に励んで参りましょう。

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2018年10月 剣友会だより

秋の深まりを感じ、スポーツや武道に体を、動かすのが気持ち良い季節になりました。

今秋も昇段審査があります。
受審される会員の皆さんは益々稽古に励まれている事でしょう。
普段からの稽古はもちろんのこと、日常生活においても武道に役立つ動きをし、身体に武道の動きを染みつかせておきたいものです。

そこで今回は身体の鍛錬や技の鍛錬と同じくらい大事な心の鍛錬のお話をしたいと思います。
一刀流の古くからある教訓に「四戒」というものがあります。
四戒とは、驚・懼・疑・惑の四つをいいます。
真剣勝負中や修行中にもこのうち一つでも心中に起こしてはならない、という戒めです。

驚とは、予期せぬ相手の動作に驚き、正常な判断と処置ができなくなること。
懼とは、恐怖で精神活動が停滞し、四肢震慄し筋肉麻痺して、その働きを失うこと。
疑とは、己の疑心のために、相手を正しく目定められないこと。
惑とは、精神が混乱するあまり、敏速な判断や軽快なる動作ができないこと。

驚懼疑惑の四念生ずれば、心がこれに惹かれて隙を生じ、且つその動作は必ず遅疑逡巡する。
武道を学ぶ者として、この四戒を胸に刻み、いざという時に右往左往する事がないようにしたいものです。

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2018年9月 剣友会だより

9月も後半に入り、朝晩がだいぶ涼しく過ごしやすくなってきましたね。この時期は季節の変わり目でもあり、体調を崩しやすいです。皆さん、体調管理はしっかり行い仕事に学業に、そして稽古に励みましょう。

さて、今回は ”家紋” について少し語ってみようと思います。あなたは自分の家の家紋を知っているでしょうか?
家紋は平安時代のころに、自分の家や名字を表わす紋章として生まれたといいます。

現在、なんとその数は241種、5000紋以上あるといわれています。

家紋の使用は鎌倉時代の武家社会から広がりました。

戦場では、幔幕や旗、馬標や刀の鞘などあらゆる場所に家紋を描き、自分の武勲の証明や敵味方の区別のために使いました。

さながら武将の名札や名刺といったところでしょうか。

家紋は見れば氏素性が分かるほどに家名と強い関係を持つようになります。

下克上の戦国時代になり同族同士での争いも増えると、同族の中でも異なる家紋を使用するようになりました。
このころから急激に家紋の種類が増えます。

また、家紋は功績ある家臣への褒美にもなりました。

これを拝領紋といい、とても名誉なことでした。

江戸時代になると、家紋の使用は一般庶民にも広がりました。

一般庶民の苗字の公称は禁止されていましたが、家紋使用の制限はなかったため、家紋は家・一族の標識として使われるようになります。

庶民の生活が華やかになる元禄時代に入ると、家紋の使用はさらに広がり、家紋の図柄も華美・優美ものになっていきます。

左右や上下対称の家紋や、丸で囲んだ家紋はこの時期に増え始めたと考えられます。

現在、特に家紋に関する法律はなく、自分の家の家紋がわからない場合は、自分の気に入った好きな家紋を自由に使うことができます。

ちなみに自分は父方は沖縄の人間で、沖縄にはあまり家紋の文化がないらしく、自分の家紋がわからないでいましたが、最近やっと母方の方の家紋が判明した事もあり、それまでは勝手に自分の好きな三つ巴の紋を使っていましたが、どうせならその母方の方の家紋を大事に受け継いでいこうと思い、さっそくメルカリで”丸に蔦”の貼付け紋を購入しました。(笑)

※ちなみに有名な話ですが、ルイ・ヴィトンのモノグラムは、日本の家紋をモチーフに作られたそうですよ。

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2018年8月 剣友会だより

7月号に続いて8月号も書かせていただきます、事務局の吉田です。

さて、剣豪や刀に関する物語は、小説・映画・時代劇・舞台・漫画などなど、時代劇だけに限らず実に様々なかたちで古くから親しまれています。当会で稽古している二天一流剣術の創始者である宮本武蔵を題材にした物語も、挙げていけばきりがありません。

私が入会する以前のことですが、大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」が放映された2003年には、宮本武蔵への注目度が一気に高まり、当会にも局の取材が来たとのことです。(かつてはその時の記事をWEB上で閲覧できていたのですが、今は残念ながら見つけることができませんでした。)

そして、来年2019年初夏に、新しい武蔵の映画が上映されるそうです!
以下、「映画.com ニュース」からの引用です。

[映画.com ニュース] 世界12カ国で上映された「蠢動 しゅんどう」の三上康雄監督がメガホンをとり、2019年初夏に公開される時代劇「武蔵 むさし」のティザービジュアルが公開された。歴史のうねり、そこで巻き起こる波乱の物語を暗示させるビジュアルには、「本物の武蔵」の文字が躍っている。

三上監督が脚本・製作を兼ねた、史実に基づくオリジナル本格時代劇。孤高の若き剣豪・武蔵(細田善彦)と足利将軍家の兵法で師範を務めた剣法の名門・吉岡一門、鎖鎌使いの宍戸、槍使いの奥蔵院道栄、そして老境に達し剣を極めた佐々木小次郎(松平健)の戦いを群像劇として描く。細田と松平に加えて、目黒祐樹、水野真紀、若林豪、中原丈雄、清水紘治、原田龍二、遠藤久美子、武智健二、半田健人、木之元亮ら、世代を超えた俳優陣が集結する。

ティザービジュアルの公開に合わせて、三上監督は「複雑化する群像劇を、日本映画界に欠かせぬ俳優陣、時代劇映画に精通したスタッフ、オールロケのリアルな映像、武道をベースにした迫力の殺陣シーン、オリジナルの刀の製作など、とことん本物にこだわり、徹底して描きました。史実を事細かく調べると歴史のうねりという一本の太い線となり、武道を探求すると武蔵の勝因が理解できました。本作では、歴史のうねりを縦軸に、武蔵の正義、吉岡一門の正義、小次郎の正義、細川家の正義、公儀の正義の激突を横軸に、過去、誰もが描かなかった『本物の武蔵』の映画に挑みます」とこん身のコメントを寄せている。

「武蔵 むさし」は、19年初夏に全国で公開。

—映画.com ニュースより—

https://eiga.com/news/20180830/5/

「武道をベースにした迫力の殺陣シーン」などは、どのように演出してくるのか、かなり興味が湧くところです。

また、世間で宮本武蔵の注目度が高まれば、当会へのお問い合わせも増え、それに伴って入会者も増え、会全体としても活性化するのではないかと期待をしています。

まだ少し先ではありますが、封切りされましたら、皆様方も映画館へ足を運ばれてはいかがでしょうか。

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2018年7月 剣友会だより

演武も終わり、本格的に暑くなって来たかと思うと、朝夕などわずかに秋の気配も感じるようになって参りました。今回の剣友会だよりを担当いたします、事務局の吉田です。前号から少し期間が空いてしまいましたが、7月号・8月号を一度にお届けしたいと思います。

さて、当会に対するお問い合わせや見学希望の連絡を一番始めに受け付けるのは事務局である私の役目でありますが、今回はその私ならではの話題です。

2010~2017年までの間で、見学希望のお問い合わせをくださった方の人数、それから実際に見学にお越しになった方の人数、その後に入会された方の人数を以下に集計してみました。

2010年  お問い合わせ:2  見学:2  入会:2
2011年  お問い合わせ:5  見学:3  入会:3
2012年  お問い合わせ:5  見学:4  入会:3
2013年  お問い合わせ:7  見学:5  入会:3
2014年  お問い合わせ:6  見学:4  入会:3
2015年  お問い合わせ:11   見学:9  入会:6
2016年  お問い合わせ:2  見学:0  入会:0
2017年  お問い合わせ:3  見学:3  入会:3
合計    お問い合わせ:41   見学:30  入会:23

事前連絡がなく見学にお越しになった方や、記録から漏れてしまっている方も多少はいらっしゃったとは思いますが、ほぼ正確な数字だと思います。

これらの数字から、お問い合わせをくださっても見学にお越しになるとは限りませんし、見学にお越しになっても入会されるとは限らないことが、お解りいただけるかと思います。そして、現会員数が9名ということを踏まえると、入退会による会員の入れ替わりも、それなりの頻度で発生しています。

つまり、お問い合わせをして、見学に来て、入会して、何年も稽古を続けているという状態が、簡単なようでなかなかそうではないということです。逆に考えると、仕事の都合・家の事情・怪我などで稽古を続けていくことが困難になる時がある中で、稽古のたびに集い合うことができているということ自体に、縁というものを感じずにはおれません。

会員が集い合って、共々に汗を流せることに感謝しつつ、研鑽していきたいものです。

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